【介護を考える2】遠距離介護をするということ

「遠距離介護」という言葉を聞いたことはありますか?離れて暮らす高齢の両親に介護が必要になった時に、住み慣れた家で自立した生活を送れるように、子供がサポートすることを言います。

父に本格的に介護が必要になったのは、昨年の秋頃から。それまでは母のサポートと週に数回通うデイサービスで日々は回っていました。ところが、昨年秋の入院から一気に認知症の症状が進んだ父は、現在では人の手を借りなければ生活がままならなくなりました。今回は、離れて暮らす両親が心配な人のために、遠距離介護についてご紹介します。

遠距離介護を選択する理由

「スープの冷めない距離」と言いますが、実家の両親と同居していたり、車で数分のところに住んでいる友人を見るといつも羨ましいなと思っていました。現在私は九州、両親は関東。介護のためには数多く通う必要が出てきました。

父に介護が必要になった時には、迷うことなく面倒を見ていこうと思いましたが、それは同居するという意味ではありません。両親には両親の、私たちには私たちの生活があり、それらを変えることは今は現実的ではないなと思ったのです。

・親に転居してもらうことは難しい

その土地で築いた人間関係や、かかりつけの病院など、長年住み慣れた土地を離れ、知っている人の少ない場所へ生活の拠点を動かすのは不安なものです。高齢者であれば、環境の変化にうまく対応できず、住む場所が変わると認知症を発症したり、症状が悪化したりする人もあります。このため親の転居はまず考えられませんでした。

・介護する側にもさまざまな立場がある

父の介護が現実のものとなる頃というのは、私にとっても仕事をする生活が出来始めていたり、子供たちの学校関係で、今いる場所を離れられないという事情がありました。家族を残して私だけが地元に帰り、親の介護だけに専念するのは難しい状態でした。このため、母が元気で父と暮らしている間は、私や妹が交代に介護のために通うという選択になりました。

遠距離介護のメリット・デメリット

遠い距離を通う遠距離介護ですが、お金や時間がかかるなど悪いことばかりではありません。そこにはメリットとデメリットがありました。

メリット

・親世代は住み慣れた場所でこれまでの人間関係の中で暮らしていくことができ、介護をする子世代は、現在の住居環境を変える必要がない
・帰省の際にしか会えないため、親に優しく接することができ、気持ちの切り替えがしやすい
・高齢者の一人暮らしや高齢者のみの世帯では、同居介護に比べて生活援助サービスが利用しやすく、特別養護老人ホーム(特養)入居の優先度も上がりやすい。

デメリット

・帰省のための交通費、電話や通信代、お世話になっている近隣の方への手土産代など費用がかかる
・体調に変化があった場合、早急な対応がしづらい
・日頃住んでいない地域であるため、土地勘が無かったり情報が収集しにくい
・帰省が増えると仕事を休むことが多くなりやすい

遠距離介護を成功させるポイント

■コミュニケーションを密にする

親は「子供に負担をかけたくない」と思いがち。悩んでいることや、体の不調や困り事があっても言い出せずにいることもあります。電話やメールで連絡を密にとり、今の状況を細かく確認することが、後々のトラブルを最小限にしてくれます。

■専門職や近隣の友人、知人の協力を仰ぐ

介護に関する一切を引き受けてくれるケアマネジャーとは、連絡をこまめに取りましょう。機会があれば帰省した際に面と向かって話し合う場所を設けるのが効果的です。遠距離介護の場合、頻繁に帰省するのは難しいため、日頃から様子を気にかけてくれる近隣住民やケアマネジャーの存在は大切にしたいものです。

■介護費用は親の貯金で賄う

金銭面の話は後々トラブルが起こりやすいため、介護費用は基本的に親自身のお金で賄えるように計算することが大切です。介護は親の生活の質を保つために行うものなので、親が老後のために貯めた資金を充てることが前提となります。事前によく親と話し合いをし、預貯金や年金の把握をしておきましょう。

遠距離介護で利用したいサービス

さらに安心な遠距離介護を目指すのであれば、見守りサービスや費用負担を減らせるサービスなどを活用しましょう。サービスの内容を知っておくだけでも、いざという時に役に立ちます。

見守りサービス

自治体による安否確認サービスや配食サービス、企業によるセンサー型の見守りサービスなど、さまざまな種類があります。地域によってその内容は多岐にわたるので、親が住んでいる地域で作成された高齢者向け冊子などを取り寄せてみてください。

航空会社の介護帰省割引

遠距離介護で頻繁に帰省が必要な場合、航空会社が提供している介護帰省割引を活用しましょう。利用できる条件は、被介護者が「二親等以内の親族」「配偶者の兄弟姉妹の配偶者」ならびに「子の配偶者の父母」であることです。申し込みには「介護保険証・介護認定通知」「戸籍謄本か抄本」「現住所記載書類」などが必要なので、各航空会社へ問い合わせてみましょう。

ただし、介護割引があるのは「JAL」「ANA」「SFJ(スターフライヤー)」「ソラシドエア」の4社です。それ以外の格安航空会社の場合は、介護割引制度は用意されていません。また、介護帰省割引よりも格安航空券のほうが安い場合もあります。格安航空券はネットからも購入できるので、なるべく交通費を安く抑えたいという人は検討してみましょう。

JRの場合

JRの場合、介護を目的としたいわゆる介護帰省のための割引制度はありません。それ以外の割引制度をうまく使うか、駅前などにある格安チケットショップなどを利用することになります。

JR各社が提供している割引制度のなかでは、「ジパング倶楽部」「エクスプレス予約」など介護家族にとって使い勝手が良さそうなのものがあります。ほかにもさまざまな割引制度やキャンペーンがあるので、興味のある人は調べてみましょう。

私鉄各社については、介護を目的とした帰省のための割引制度というものは無いようです。ただし鉄道会社によっては、割引制度を用意しているところもあるので、自分がよく使う路線についてはインターネットなどを使ったり、直接鉄道会社に問い合わせるなどして、しっかりと調べておきましょう。

高速バスの場合

移動時間は長いものの、交通費を抑えるという意味では高速バスの安さは魅力です。ただし、介護を目的とした帰省のための割引制度を用意しているバス会社は無いようです。それでもバス会社ごとにさまざまなサービスを提供しているので、比較サイトなどを利用して、希望に合ったサービスを探しましょう。

周囲の協力を仰ぐことが遠距離介護成功の鍵

実際に始まってみて感じたのは、介護を受ける両親と毎日関わることができないからこそ、周囲の人々の目や手をどれだけ借りることができるかということが、遠距離介護を成功させるポイントだなと思っています。

介護はお金の問題とも関わっているため、無知ではいられません。介護サービスを受ける場合は、介護保険を始め、助成金や割引などを最大限活用しながら、少しでも負担額を減らせるように工夫することが大切です。ケアマネジャーを中心に、協力してくれる人とはコミュニケーションをしっかりとって、信頼関係を築きましょう。

 

 

この記事をかいた人

これまで経験したことのない雨量、災害、台風など、どんどん記録が更新されていく昨今の自然環境です。レジ袋が有料化され、マイバッグを持つことが当たり前になると、それまでレジ袋を使っていた日々が遠いことのように思えます。出来ることからコツコツと、地球を守るためにしていきたいものですね。

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