雛祭りに「さげもん(吊るし雛)」を見に柳川を訪ねました。

3月3日の雛祭りも間近のこの季節、福岡県柳川市に吊るし雛が多く飾られていると聞き、出かけてきました。そこは私の想像をはるかに超える量の吊るし雛が。柳川の藩主の邸宅や、武士の住宅など、国や県の文化財としての建物も多く見られました。そんな柳川旅をお届けします。

水郷の里「柳川」

福岡県柳川市は、水の街です。街の中に水路が張り巡らされ、柳川駅の周りに4箇所の乗船場があり、船頭がこぐ船に揺られながら季節の花や街の景色をのんびりと眺める観光で有名です。

この日は水が少なく、残念ながら船が動いている姿は見られませんでしたが、風情ある景色の中を歩くのは、古き良き時代にタイムスリップしたようでした。

雛人形と吊るし雛の違いはどこに?

3月3日の雛祭りには、女の子の健康と長寿を祝って人形を飾るのが古くからのならわしです。昨年のコラムではひな祭りの由来についてご紹介しました。その時の記事がこちら→雛人形から見るひな祭り。意味を改めておさらいしましょう

では雛人形と吊るし雛の違いはどこにあるのでしょう?実はどちらも初節句に飾るものであることには変わりありませんが、吊るし雛の方がもう少し庶民的なものだそうです。

雛人形を飾ることが盛んになってきた江戸時代後期には、人形を飾ってお祝いをしたいと思っていても、高価な雛人形をそろえる余裕のない家庭では、購入することができませんでした。そのため、ひな人形の代わりに古着の端切れで小物を作り、飾ってお祝いしたのが吊るし雛の始まりと言われています。

庶民にとっては高価な雛人形は手が届かない。だから身の回りにある布を集めて、小さな人形を雛人形と見立てたのですね。家族や近所の方々が作ったお手製の雛人形をたくさん集めて紐で吊るしたものが、今日まで続けられている「吊るし雛」というものです。

日本三大吊るし雛

このように吊るし雛で有名な地域が「日本三大吊るし雛」と呼ばれています。静岡県東伊豆町稲取地区の「雛の吊るし飾り」開いた傘の下にぐるりと布をめぐらし、その傘の下に、様々な意味合いの縁起物を吊り下げる山形県酒田市の「傘福」そして福岡県柳川市の「さげもん」です。それぞれに工夫を凝らした豪華な吊るし雛や吊るし飾りを見ることができるので、雛祭りも近いこの時期は大変賑わっています。

ひな飾り「さげもん」の由来

華やかなさげもん飾り。こうやって高いところから吊るして飾るので「さげもん」と言われます。「さげもん」は江戸末期頃から始まり、女の子が生まれた家で初節句のお祝いに、お雛様代わりに古着の端切れで小物を作ってお祝いしたのが始まりだとされています。

代表的な飾り物に
■這い人形・・・親が子に健やかな成長を願う
■梅・・・寒さに耐え、春に先駆けて咲く縁起物
■海老・・・長寿を願う
■蝉・・・泣く子は育つ。土の中に何年もいるため、辛抱の象徴とされる。

など、意味がわかって飾りを見るとまた楽しいです。初節句の女の子の幸せ、健康、無病息災、良縁などの願いが込められています。これらは竹の輪に7個の飾りが7列で49個。中央に柳川まり(鞠)を2個下げるのが決まりだそう。飾りの数が全部で51個なのは、人生50年と言われていた時代に、1年でも長生きしてもらいたいという親の願いが込められているからだそうです。

中央に飾られた柳川まりは柳川名物

柳川出身の詩人、北原白秋も歌に詠んだことで有名な「柳川まり」は、今でもひとつひとつ手作業で作られています。女の子が生まれた家に、その子が気立てが良くまめであることを祈って、各家庭で五色の糸で巻いた手まりがつくられたのが始まりだそうです。現在ではまりのデザインも伝統的なものからカラフルなものまで様々。その緻密さに驚きます。

柳川藩主の邸宅の「さげもん」は、豪華絢爛

柳川といえば一番に見たいスポットがこちら。柳川藩主立花邸「御花(おはな)」に行ってみました。こちらは素晴らしい庭園を持つお屋敷で、迎賓館としての西洋館と、それに続く和館の大広間があり、現在でも結婚式などで使われています。

こちらのさげもんは豪華絢爛の一言。

七段飾りがふたつと、その周りにさげもんがずらり。下の方には柳川まりがケースに入れられて飾ってあります。この日は天気も良く、外からの日差しで一層輝いて見えました。

武家住宅の旧戸島家は、懐かしさを感じる和の空間が

場所は変わってこちらは旧戸島家住宅です。城下町だった柳川の武家屋敷だそうで、シンプルな作りの家でありながら、神棚があったり、茶室があったり、庭では鳥居も立っていました。江戸時代後期の流行を取り入れた、国の名勝庭園として登録されているそうです。

藩主の家の豪華絢爛なさげもんとは違い、程よい量の雛人形やさげもんに、ちょっと心がホッとしたのでした。この家の庭の縁側は静かな時間を過ごすのにぴったり。スマホもカメラも置いてしばしボーッとたたずんでしまいました。

柳川観光協会のさげもんは、華やかの一言!

最後は柳川観光協会を訪れました。ネットなどでさげもんを検索すると「観光協会のさげもんは見るべし!」と書かれてあり、行く前から楽しみにしていました。

入ってみてびっくり!まず、まりの数がすごかったです!デザインも豊富で何しろカラフル!そして周りにもおびただしい数のさげもんが。

両端にまりの飾り棚あり、七段飾りのお雛様あり、人形やさげもんもあってにぎやかな場所でした。さげもんを堪能した!と満足できる場所でしたよ。

女の子の健康と幸せを願って始まった「さげもん」。江戸時代から続く歴史ある雛祭りの行事を知る旅は、思いがけず藩主の邸宅や、武家住宅まで見ることができて、昔の建築好きな私としては大満足な旅となりました。ささやかですが、我が家の雛人形も大切にしなければと心に誓ったのでした。

この記事をかいた人

忙しくてついつい後回しになってしまう細かい場所の掃除の数々ですが、こうしてコラムにするからにはきちんと手を加えなければ!と重い腰を上げて掃除に励む毎日です。でも終わった後の綺麗になった部屋を見るのはやはり嬉しい。今週からしばらく掃除特集をお届けします。

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