九州焼き物を訪ねる旅〜その2・福岡県編〜

九州の福岡県に暮らし始めて10年が過ぎました。子育ても一段落し、自分の好きなことに時間が使えるようになったこの数年、気になった場所へ出かけて行くことも増えました。その中のひとつに、焼き物の街を訪ねることがあります。九州には地域独特の焼き物が多く、どれも魅力的。昨年訪れたのは、有田焼で有名な佐賀県有田町でした。その時の記事はこちら→有田焼」の街、佐賀県有田町を訪ねて

今年はコロナ禍で行動を制限されることが多く、なかなかゆっくり遠出ができない日が続いています。また梅雨時期の九州地方の長雨も影響しました。窯元は山の中にあることが多く、道路が通行止めになっていたり、窯元自体が営業停止していたりする場所も見受けられましたが、緊急事態宣言が解除になり、梅雨の晴れ間だったある日「今日しかない!」と思い立ち行ってきました。今回は福岡県朝倉郡にある東峰村を訪ねます。

のどかな山の中にある東峰村(とうほうむら)

福岡市の中心部から車を走らせること1時間30分ほど。中南部に位置する焼き物の街「東峰村」に到着しました。山をいくつも越え、田んぼや畑が多くみられるのどかな村です。特産品に国指定の伝統工芸品である「小石原焼(こいしわらやき)」の窯元が多く点在する村として知られています。

村の中には、小石原焼伝統産業会館というのがあり、この焼き物の歴史や作り方をみる事ができます。以前有田町に行った時もそうだったのですが、こうした焼き物の成り立ちをじっくり見ることができる展示場は、平日であれば大抵空いている場合が多く、人も少ないのでゆっくり好きなだけ眺めることができるのも、楽しみのひとつとなっています。

伝統産業会館の中には、全国の伝統産業を表した地図がありました。中でも九州には伝統産業と呼ばれるものがたくさんあり、どれも興味深く、時間が許すなら全部見て周りたい!と思ってしまいました。今回の目的地はその中のひとつである、福岡県の小石原焼を見ることです(画像には福岡・小石原村とありますが、2005年に合併して東峰村が発足したそうです)

入り口には「登り窯」と呼ばれる窯が展示されていました。登り窯には、薪を燃やす焚き口が下の方にあって、普通5つの部屋があり、一室は幅約4m、奥行き約3m、全体の長さは15メートルほどあるそうです。

登り窯は、大きな土饅頭が焚き口を入れて6つつながったような形をしています。焚き口から一番後ろの室まで下の方に煙道が作られ、熱気が伝わると同時に煙が抜けて行くようになっています。まず一番下(写真左)の焚き口から、約半日(13〜14時間)焚き続け、窯全体の温度を1,000℃近くまで上げるそうです。

窯全体の温度が一定になったら、焚き口をトンバリと呼ばれる耐火レンガで塞ぎ、第一室から順に焼き上げていきます。火を入れてから全室が焼き終わるまでおよそ30時間かかり、最終的に窯の温度は1300℃にまでなるということです。間近で見た登り窯は迫力がありました。

中に入ると、多くの大型の壺や水瓶に圧倒されました。「火ノ用心」と描かれた水瓶もあることから、これらは防火用水としても使われていたのでしょう。

小石原焼の特色はその模様にもあり、上の写真の大皿には、代表的な模様が全て施されています。模様のできる工程を知ると、どれだけ細工が細かいのかがわかるようになり、一枚一枚の作品の価値が理解できるようになります。

○飛びカンナ 白化粧土等をかけた器が生乾きの時に、鍵型の薄いカンナで削ると先が跳ねて飛び飛びに削られたもの
○ポン描き 竹筒の下部に竹筒を差し込んだ容器の口から流れ出る釉薬(焼き物の表面に薄いガラス状の膜を作るもので、うわぐすりなどとも呼ばれる)を使って、一気に文字や模様を描いたもの
○打ち掛け 盃(さかずき)、ひしゃく等で荒く釉薬を不規則にかけたもの
○流しかけ 徳利等に釉薬を入れ、半乾きの表面や上部に流しかけたもの
○櫛目 歯形をした手製の道具を用いて、波形等の模様を施したもの
○刷毛目 刷毛を用いて少しずつ位置を変え、独特の模様を描き出したもの

それぞれの製作過程も展示されており、作り方がわかるので興味深いです。

伝統工芸館で小石原焼について学んだ後は、お楽しみの産直工場へ行って実際に売られている陶器類を見に行きます。窯元をめぐる旅の楽しさは、そこでしか買えない品物に出会うこと。今回はどんな作品と出会えるのでしょうか。

整然と並べられた器の数々。窯元ごとに分けられており、一見同じ小石原焼なのですが、細かく見ていくと窯元ごとにデザインや色の違いがあって時間を忘れてしまいます。

小石原焼は華やかな絵付けや色合いを使ったものではなく、白、黒、茶色などのシンプルな色味の器がずらりと並びます。そのため、自宅にある食器類とも合わせやすく、日常使いにぴったりの食器が見つかるのも特徴です。

今回購入したのは、まず4種類の蕎麦猪口を買いました。それぞれに小石原焼独特の模様が施されていて、蕎麦を食べる時だけでなく、お茶を飲んだり、コーヒーを入れたりでも使えそうです。

独特の茶色が美しい器です。楕円形の器は、意外と応用範囲が広く、焼き魚を乗せたり、カレーを入れたり、パンとサラダを盛ればワンプレートの食事として使えそうです。

ご飯茶碗より少し大きめの碗も購入しました。丼にしたり、うどんなどを入れる時にも使えそうです。

普段使いができて、でも使う時にちょっと嬉しい。そんな食器が小石原焼には沢山ありました。山あいの村で生産される独特の食器の数々。辺りに広がる昔ながらの風景も目に優しく、また訪れたい居場所のひとつとなりました。九州焼き物探訪は、まだまだ続きそうです。

 

 

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あんなにマスクが苦手だったのが嘘のように、今では外出時に家を出る時から帰宅までマスクをしているのが当たり前になりました。選ぶマスクの種類によって1日が快適でいられるかどうかも変わってくるので、マスクに対するこだわりも以前よりずっと強くなりました。今は洗えるコットン素材が一番のお気に入りです。

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あんなにマスクが苦手だったのが嘘のように、今では外出時に家を出る時から帰宅までマスクをしているのが当たり前になりました。選ぶマスクの種類によって1日が快適でいられるかどうかも変わってくるので、マスクに対するこだわりも以前よりずっと強くなりました。今は洗えるコットン素材が一番のお気に入りです。